2012年9月28日金曜日

チャイナリスク:中国ビジネスの上限が見えてきた

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 反日教育を国是としている国でビジネスをやろうとすると、それなりのリスクが伴うことは誰でもが感じている。
 ただ、これまで今回ほどに大きなうねりを持って出てこなかった。
 それは、まだ中国側に日本を必要とする部分が大きくあったからだ。
 だが、近年の中国の国力増強、経済力の発展によって、その
 「日本を必要とする部分」
の割合が小さくなってきた。
 「もう、日本はいらない」
となれば、反日激情が一気に吹き出す。
 今回の事件はそれが「やって来た」ということだろう。
 遅かれ早かれ、このようなことが来るであろうことは、なんとなく予感していたと思う人が多いのではないだろうか。
 反日を国是としている国で、どこまでビジネスできるかというと
 「ここまで」
という線があるように思える。
 その線が見えてきた。
 そう判断するのが至当だと思う。
 よって、これからはこれ以上中国ビジネスは大きくならない。
 この大きさの中でやっていくしかないだろう。
 もしその枠組みを壊すものがあるとしたら、とてつもないイノベーションを伴ったビジネスだろう。



サーチナニュース 2012/09/26(水) 18:08
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0926&f=column_0926_044.shtml

今中国ビジネスを諦めるのは時期尚早である3つの理由
        
  尖閣問題に端を発した中国の反日デモ、特に日本製品や日本企業の深刻な被害を目の当たりにし、日本企業の中国撤退についての関心、議論が急速に高まっている。

  「チャイナ・リスクを再認識し、中国撤退及び事業の再配置を検討しよう」
との主張が注目されており(福田完次「中国ビジネス、この難局を事業再配置と現地化の良い機会と捉える」2012.9.17本サイト参照)、実際、そうする企業はこれから増えてくるだろう。
 そういう事情だから、理解できる。

  しかし、一方では、中国ビジネスをあきらめるのはまだはやいと思う。
 以下、識者の観点も引用しながら、その理由をいくつか挙げてみたい。

(1):日系製品や工場、店舗に対する破壊、略奪行為は一部暴徒化したデモ参加者によるものであり、中国国内でも大いに非難、批判されているので、これからも頻繁に起こるとは考えにくい(韓松「釣魚島的逆転?」2012.9.17HTTP://BLOG.SINA.COM.CNはこのような行為で中国のイメージが大きく損なわれ、また中国人自身もたいへんな恐怖感を覚えたと指摘している)。

(2):「抵制日貨」と叫ぶ人がいるものの、日本製品と日本式サービスの良さを理解し利用する人がたくさんいるのも事実であり(沖野真紀「日本製品の良さを理解している中国人だけに売れば良い」2012.9.17本サイト参照)、またたとえ「日貨」を「抵制」しようとしても、いまの段階では不可能だと考えられる(李麦遜「我看抵制日貨」2012.9.14 HTTP://BLOG.SINA.COM.CNは「抵制日貨」の前提は中国が自ら高品質のものを生産できるようになることだが、今はまだできていないとしている。

  なお、私は9月12日~14日、出張で北京に行っていたが、迎えてくれた友人の愛車はホンダ、食事の場では隣に座る女性たちは資生堂とコーセーのどっちがもっといいかを激しく争うことに印象深かった)。
 したがって、今回の事件があっても、「日本にとって中国は非常に大切な市場であることには違いはありません」(沖野真紀)と信じてよかろう。

(3):中国から東南アジアや日本国内へのシフトが主張されているが、東南アジアについて確かに賃金など中国よりもっと条件の良い国は複数あるものの、事業の成り立ちには賃金は唯一のポイントではないし(張兵「中国の賃上げをポジティブに捉えて対応すべき3つの理由」2012.8.28本サイト参照)、またリスクと言えば「どこの国に言ってもリスクは付き物、それを恐れていれば世界に出ていけなくなってしまいます」と言われている(福田完次)。

  日本国内への再配置については、縮小している市場や高いコスト体質などを考えると、その可能性はどれほどあるだろうか。
 そもそも、日系企業の中国進出は、製造業も非製造業も、中国における巨大市場や地理的便利さなどを求めているのがその背景となっており、また中国においてすでに多大な投資や蓄積を行っていることもあって、中国以外へのシフトは決して簡単なことではないと言えよう。

  いずれにせよ、日本企業にとって中国ビジネスは必要であり、可能であり、簡単にあきらめるべきではないと思う。

  ただし、今回中国の反日デモはあまりにも異常で過激な出来事が多くあり、一企業として無力感を持つようになってもしかたないであろう。
 したがって、企業自らの対応だけでは足りなく、国や業界団体による支援、サポートも一層充実強化する必要があると思う。
(執筆者:張兵 提供:中国ビジネスヘッドライン)




中国ビジネスヘッドライン by海司 昌弘 on 2012/9/20
http://www.chinabusiness-headline.com/2012/09/28518/

今後、中国進出企業がリスクマネジメント上考慮すべき4つの点

  尖閣諸島の国有化問題に端を発するデモは、日増しに規模を拡大し、大使館、領事館等へのデモ行進に始まり、日系企業の工場や商業施設が破壊、放火、略奪される等、非常に多くの実被害が出ています。
 日本のマスコミ等においても、連日連夜、大きくこのニュースが取り上げられています。

  2005年の反日デモ等これまでにも何度となく反日デモは発生していますが、今回のデモは最大規模であり、日系企業も充分に対処しなければなりません。

  ここ中国では、ご承知の通り、多くの日系企業が進出しており、
 その数「22,307社(2011年 中国貿易外経統計年鑑)」
とも言われています。
 中国は今や「世界の工場」から「世界の市場」にシフトしており、工場だけではなく、物流、小売り、飲食等サービス産業の中国進出も年々活発化しています。

  日本国内のマーケットが縮小し、自社の発展には中国マーケットしかないといった、已むに已まれぬ事情で進出してきた企業も少なくありません。
 そのような企業の場合、中国進出に関するリスクや、中日関係にどう対応していくべきかを充分に検討していないことも少なくないのではないでしょうか。

  以下に、中国に進出している企業、これから進出を考えている企業において、リスクマネジメント上考慮すべきポイントをまとめました。


1):中国進出の目的の再確認

  上述の通り、今や多くの企業が中国進出をする時代になっていますが、以前のような安い労働力の確保を目的とした中国進出には、陰りが見えてきています。
 沿岸部のみならず、昨今は内陸部においても、人件費が年々凄まじい勢いで上がり、賃金上昇への不満を発端とするストライキの発生も記憶に新しいところです。
 今後も賃金上昇の圧力が収まるとは考えにくく、従来型の中国進出のビジネスモデルでは、採算があわなくなることも十分に考えられます。

  重ねて、当然ながら文化や商習慣、風習他、環境がまったく異なるところに身を置くことになります。
 日本で当たり前とされていることが、当地では当たり前でなく非常に困難である、といったことは日常茶飯事です。

  以前は、外資系企業向けの各種法律、規制等で、手厚く保護、優遇され、それほど身近に「中国リスク」は感じなかったかもしれませんが、最近では、市場主義競争社会の枠組みの中、ビジネス拡大を進める過程において、内資企業(中方企業)と対等な立場で、「中国の一企業」として活動することが求められます。

  「中国社会の一員」となり、様々な問題、規制に対等に付き合う必要が出てくるようにもなっており、一昔前に持てはやされた「外資優遇」の色彩は徐々に薄れてきているとも言えるでしょう。

  もちろん、13億人以上の人口を擁する巨大マーケット、鈍化したといっても7%を超える経済成長を続ける中国の魅力は大きいわけですが、上述のような状況から、最近では、ベトナム、ミャンマーにシフトする企業が増えているとも言われています。
 今回の件も含め、何故中国に進出するのか、その目的は何か、今後のメリットは享受できるのか、等の再確認が求められます。

(2):本社と現地の連携

  上記を踏まえ、中国ビジネスが引き続き重要と判断した場合には、現状想定されるリスクを、まずは、十分に受け入れる覚悟が必要と考えます。
 誰しもが、リスクは「0(ゼロ)」であることが望ましいと考えますが、事業活動を行う以上、リスクを「0」にすることは、不可能であり、ましてや先述にもあるように文化風習他、環境がまったく異なる海外においては、更に厳しい状況であることを十分に理解することが必要です。

  今回のデモ、暴動は、まさにそのリスク要因の一つであり、しかも一企業ではコントロールできないものです。
 デモ、暴動あるいは、その他のリスクが発生した際に、「なんで起きたのか?」と言い始めても何の事態解決にもなりません。

  多くの企業では、現地で様々なリスクが発生するたびに、
 「現地でのリスク管理は、いったいどうなっているのか?」
 「現地責任者のマネジメント力は、どうなっているのか?」
 「至急、対応策を本社に報告せよ」
…といった、中国における現場と日本本社間で、問題の捉え方に距離感のある、一体感のないコミュニケーションの実態を垣間見ることが少なくありません。

  よく現地の方々からは、
 「OKY:お前、来て、やってみろ(の頭文字)」
という言葉が聞かれ、表現は少し乱暴ですが現地の方々が日本の本社に対し
 「もっとわかってもらいたい」、
 「もっと踏み込んで支援してもらいたい」
と思っている意思を表す表現をよく聞きます。
 このような本社と現地でのコミュニケーション・ギャップは、大きなリスク要因です。

  今回の反日デモも含め、不測の事態にどう対処するべきか、と言った対応策を現地任せだけにするのではなく、日本本社の立場からも、常日頃から十分に想定し、現地と緊密に連携し、対策を講じることが重要です。

(3):現地でのネットワークの拡充

  万一、デモ、暴動が起きた際には、現地での種々の対応が必要になってきます。
 常日頃から、地元や従業員等と関係を良好にしていたとしても、それだけでは、有事の際に万全とは言えません。
 このことは、今回、日系資本でないにも関わらず、日本をイメージしやすいといった理由での寿司屋、ラーメン店等の日本料理店への破壊行為、中国人が所有する日本車への破壊行為等を見ても明らかと思われます。

  さらに、常日頃から地元コミュニティとの関係が希薄である企業、従業員からの不平不満が相次いで発生している企業では、この機に乗じて、一層の被害対象になるリスクが高くなることが十分に想定されます。
 まずは、常日頃から、地元政府、公安、近隣企業同士等と情報交換を密にする、従業員への福利等を充分に考える、これらコミュニティとの円滑な関係作りを行うこと、等が非常に重要になってきます。

  また、このような微妙な関係の上に成り立つ各種問題を十分に理解したトップ層の駐在員派遣も必要と考えられます。
 外務省「海外在留邦人数調査」によると、
 中国全土での在留邦人数は、2000 年の46,090 人から、2010 年には、131,534 人と、10 年で約2.9 倍と急激な勢いで増え続けています。

  多くの企業で一昔前に見られたような、海外の何れかの地で過去にマネジメント経験があり、語学研修で十分な語学スキルを備えた社員を中国に赴任させる、といった環境ではなく、過去のマネジメント経験や言葉の習得を二の次にして、即現場へ投入といった状況が、多く見受けられます。

  「外資優遇」が色薄れていく中、「中国の一企業」「中国社会の一員」として活動していくためにも、中国ビジネスのイロハ、商慣習、対人関係等々を十分に理解したトップ層の起用、旗振りも非常に重要な問題と考えられるでしょう。

(4):現地化の一層の推進

  重ねて、昨今の危険な現況に鑑み、外務省 海外安全ホームページ、大使館、領事館等からも、危機管理情報として、不要不急の外出を控えるようにといった情報も出されている中、一方で、自社の状況や操業の確認等を行うことも必要となってきます。
 日本人として、公共交通機関の利用等を含め外出全般に不自由が生じる中、中国人スタッフによる現地化が非常に重要な検討項目になってきます。

  各企業において「現地化」というキーワードが叫ばれ久しいですが、実態としては、幹部社員として日本人駐在員を派遣する、中でも、特に最近では若年層化が一層進んでいるように思われます。
 マネジメント経験を持たない、もしくは経験の浅い若年層が、このような予測できない危機に、国籍を超えて会社の危機をコントロールしていくことは、かなりハードルが高いと思われます。

  当然ながら、日系企業に勤める中国人スタッフにも、最大限の安全を確保する必要があることは言うまでもありませんが、「真の現地化」として現地の主要なオペレーションを、中国人に委譲することも、こう言った不測の事態への迅速、的確な対応を求める意味からも、有効な手立てになると考えられます。




中国ビジネスヘッドライン by陳 亮 on 2012/9/20
http://www.chinabusiness-headline.com/2012/09/28464/

反日影響を最小限にする中国マーケティングのあり方

  中国国内で反日デモが拡大しており、都市数も80超と拡大している。日本企業への影響が出ている。本稿ではデモ参加者や過去の反日デモ後の日中経済関係を分析した上で、反日影響を最小限にする中国で売れるマーケティングの有り方について述べる。

1].デモ参加者

1).現在、反日デモを行っていた都市は80都市を超えている。
 しかし、日本企業(製品)が中国沿海部に集中しているため、大半のデモ発生都市では日本企業(製品)がほぼない。
 そのため、具体的な日本企業や日本製品への不満がないはずである。

2).デモ発生の80都市では、デモ参加者の多くは日本製品が買えない人たちである。
 つまり、しっかり会社に勤めている人たちはデモに参加する時間がないであろう。
 要するにはデモが沈静化になり、ターゲット層が続けて日本製品を購入するといえよう。

  言い換えれば、デモに参する時間(暇)のない、しっかり仕事している人たちは富裕層や中間層という曖昧な定義より日本企業の本当のターゲット消費者層とえいよう。

2].過去の反日デモ後の日中経済関係

  これまでは日本企業による中国投資ブームが4回に達成した。
 特に過去の反日デモを振り返ってみると、反日デモが鎮静化の後、日本企業の対中投資・進出がさらに増え、中国市場の開拓がさらに本格的である。
 例えば、2005年に反日デモがあった。

  しかし、その時は日本の対中第三次投資ブームを達成し、その後3年後の2008年に日本企業第4次中国投資ブームを迎えた。
 2010年に反日デモもあったが、その後の2011年に日中貿易額は歴史最大級に達成した。
 そのため、目の前の環境に左右されず、長い目で中国ビジネスを見る必要がある。

3].反日影響を最小限にする中国で売れるマーケティングの有り方

1).良い中国語ネーミングは企業をアピールすると同時に企業を守る役割がある。

  いま影響を受けているのは中国で周知されている日本大手企業ばかりである。
 また、香港系のドラッグストアチェーンの「ワトソンズ」(中国語名:屈臣氏)の店舗も影響を受けている。
 理由は「名前が外資系企業のように聞こえるからだ」という。

  しかし、中国で成功している日本ペイント(中国語:「立邦」)、サントリー(中国語:「三得利」)、サイゼリヤ(中国語:萨莉亚)などは影響されていないようである。
 その理由は日本製品および日本式サービスを連想させないと伺える。
 そのため、企業の理念や主力製品やサービスに忠実しながら、中国人の親しみやすいネーミングをつけることは中国市場開拓の重要なポイントである。

2).中国市場投入製品の見直しおよび多チャネルによってリスク分散

  製品はものそのもの(ハード)だけではなく、情緒的な価値(ソフト)を持っているため、両部分をどのように組み合わせて中国人消費者に提供するかは重要である。

  いまの中国では「日本だからいい」という発想が通用しなくなっているため、「日本発」「日本品質」という目上視線の商品戦略を見直し、現地調査を通じて、過剰、ニーズのない情緒的な価値を取り除き、世界に共通する情緒的な価値を加え、消費者に提供すべきである。

  また、多くの日本企業の販売チャネルは単一で、交渉力が低く、環境に影響されやすい。
 そのため、多チャネルの利用、地方・個人業者と提携によって、あらゆるリスクが分散でき、販路が打開でき、市場拡大にも繋がる。

  今回の事件は日中両国にとってもマイナスである。
 一方、 
 中国市場を見極め、対中ビジネスを考え直す・練り直すいいチャンスとして捉えべき
であろう。




サーチナニュース 2012/09/27(木) 10:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0927&f=national_0927_022.shtml

【中国BBS】トヨタが対中輸出を停止、尖閣問題の影響が顕在化
        
  中国の掲示板サイト虎撲の掲示板に「トヨタが中国への輸出を停止したぞ!」というスレッドが立てられ、同ニュースに対してさまざまなコメントが寄せられた。

  尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化による反日感情の高まりで、中国での新車販売が落ち込んでいるため、トヨタ自動車は日本から中国への完成車輸出を当面、停止する方針を明らかにした。
 またトヨタは10月から11月末まで中国での減産を続けることも検討しているという。

  同ニュースに対して、金がなくて買えないオレとは関係がないという意見が数多く寄せられたが、次のようなコメントも寄せられた。

●・「ハハハ!跪くのを待とうじゃないか…。トヨタじゃなくて消費者のほうがな」
●・「軍のお偉いさんたちが乗る車がなくなっちゃうじゃん」
●・「お前たちがボイコットするから、日本がお前たちをボイコットし始めた」

  また、フォルクスワーゲンが中国市場を独占する日がやってきた、
 今回の件で韓国人が喜んでいる、
 この時期を利用して国産車を支持して品質とサービスレベルを向上させよう、
などの他社にとって有利になるとの意見があった。

  ほかには、
 「これは良いことじゃないか」
と歓迎する意見がある一方で、失業するのは中国人だという意見や
 「買う人がいないから売らないだけで、オレ達が買う気になれば、向こうはへこへことやってくるさ」
というコメントもあった。

  尖閣問題を発端とする日中関係の悪化や反日デモの影響はトヨタをはじめとする自動車産業だけでなく、日中双方の経済全般にも波及しつつある。
 東京株式市場では中国関連の銘柄が軒並み下げているほか、日中経済協力の悪化や反日デモに見られた政治的リスクにより、26日の上海株式市場は3年7カ月ぶりの安値となった。





「ここに日本政府に丁重に警告する」 



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