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WEDGE Infinity 2012年09月13日(Thu) 城山英巳 (時事通信北京特派員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2211?page=1
「尖閣対立」本格化から1カ月
日中関係はどう変わったのか
「冷静」から「緊張」局面へ
■「主権・領土問題で中国政府・国民は半歩たりとも絶対に譲歩しない」
日本政府が9月10日、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化する決定を下したが、温家宝首相は同日、こう断固たる決意を表明した。
抗議を一段と強めるため中国外交部(外務省)は「声明」を発表し、
「日本が独断専行を続けるなら、それによって生じる一切のツケは日本側が責任を負うしかない」
と対抗措置を示唆した。
国営新華社通信は
「中日関係は新世紀に入ってから最も厳しい挑戦に直面している」、
人民解放軍機関紙・解放軍報も
「われわれは厳粛に日本政府に対して『火遊びはやめろ』と警告する」
とそれぞれ対日けん制を強めた。
国防省報道官も11日、
「われわれは事態の推移を密接に注視し、相応の措置を取る権利を留保する」
と述べ、解放軍による武力措置に含みを持たせた。
9月末の日中国交正常化40周年を前に政治・経済交流がどんどん延期・中止に追い込まれている。
香港の活動家が尖閣諸島に向け出航して本格化した「日中尖閣対立」。
以降、活動家の逮捕・強制送還、反日デモ、丹羽宇一郎大使公用車襲撃事件、ウラジオストクでの日中首脳立ち話、日本政府の国有化決定…と続いた。
この1カ月間、冷静さを保ってきた中国共産党・政府だが、国有化決定を受け、日中関係はここに来て一気に「緊張」へと局面が変わった。
■尖閣の現状維持を 「対日3条件」
「仮に国有化しても現状維持にしてほしい。
(反中派とみなす)石原慎太郎知事の東京都が買った場合、現状維持は厳しく、中日関係は最悪の状態になる」
中国政府で対日政策を担当する幹部は、尖閣諸島の中国領有を主張する保釣(釣魚島防衛)活動家が香港を出航し、尖閣に向かっていた最中の8月中旬、こう「本音」を語った。
この幹部は尖閣諸島の「現状維持」のための条件として日本政府に
(1).立ち入らせない
(2).(建造物を造るなど)開発しない
(3).(資源・海洋)調査を行わない、
——3条件を挙げた。
その上で
「日本政府が国有化を発表した場合、中国外交部は立場上、反対声明を出ざるを得ない。
しかし3つの条件のうちいずれかをやったらその時点で強硬手段に出る」
と続けた。
「国有化止むなし」とも読める発言だったが、筆者はその後、別の中国政府幹部からも「釣魚島の現状維持」という言葉を聞いた。
野田政権が9月10日に国有化決定を下すまで、中国政府の対応は靖国神社参拝問題で揺れた2005年春、尖閣沖での漁船衝突事件で激高した2010年秋に比べ、驚くほど冷静だった。
■「第1歩」はどこに
しかし尖閣問題をめぐる日中間の認識の違いは最初から大きかった。
「第1歩は日本、第2歩が中国、第3歩はまた日本…。
しかし最も重要なのは第1歩」。
こう漏らした中国外交当局者が「第1歩」として日本に責任を帰するのは4月の石原慎太郎の尖閣買い取り表明だ。
ここから直近の尖閣問題をめぐる悪循環が始まったというのが中国政府の一貫した論理だ。
一方、日本側は、8月12日に香港を出航し、15日に尖閣に上陸した保釣活動家らの動きを「第1歩」とみている。
香港の活動家らがなぜ、尖閣に向かおうとしたのか。
8月12日の出航に先立つ同月4日、山谷えり子参院議員を会長とする超党派「日本の領土を守るため行動する議員連盟」は、戦時中に遭難した疎開船の犠牲者の慰霊祭を行うため19日に尖閣に上陸できるよう許可を政府に申請する動きが表面化。
香港の活動家らはこれを阻止しようとしたのだ。
しかし日本政府が山谷らの上陸申請を却下したのは13日で、既に保釣船は出航した後だった。
これに対して
「日本政府が迅速に申請却下を出していれば、香港の活動家の行動は違ったのではないか」
というのは当然の意見だ。
■日中双方の「誤算」
さらに言えば、中国政府は決して、保釣活動家が尖閣に向かうことを許容したわけでも、日本に圧力を掛けるため、活動家を後押ししたわけでもなかった。
中国当局は香港当局に対して出航させないよう圧力を掛けたとみられるが、出航後の保釣船に乗り込んだ香港水上警察の警官は強制的な対応を取らず、結局、出航を容認してしまった。
その背景には、人気がガタ落ちの中、持論の「愛国」を前面に出すため尖閣行きを容認しようと目論んだ香港の新行政長官・梁振英の「暴走」があったとの見方も強い。
「釣魚島への上陸を果たし、英雄視された曽健成は反共主義の民主派で、上陸した際に中華民国旗を立てた。
あれを見て中国政府として快く思う訳がない」
と中国外交筋は言い放った。
日中双方に「誤算」はあったものの、保釣船が香港を出てから、両国政府は緊密な連絡を保った。
「東京では官邸と駐日大使館の幹部同士が連絡を取り、けが人を出さないよう確認した」(日中関係筋)。
その結果、保釣船は、海上保安庁巡視船を振り切り上陸した。
その背景には、日中双方とも苦い過去があったからだ。
■海保と活動家の接触は避けよ
香港の保釣活動家・陳毓祥が1996年、尖閣海域に到着し、泳いで上陸しようとしたが溺死した。
中国政府には当時のインパクトが今も脳裏に焼き付いている。
「海保に対して穏便に対応してほしい。
何か事故が起こるとわれわれもじっとしていられない」(中国外務省関係者)
というのが中国側の訴えだった。
一方、日本側では10年9月、尖閣沖の漁船衝突事故で中国人船長を公務執行妨害容疑で逮捕し、拘置が長引いたことが日中関係の緊張につながったという失敗がなお記憶に新しい。
そのため今回は強制送還を前提に入国管理法違反容疑に事態を収める必要があった。
海保と保釣船の接触は避け、上陸した活動家を沖縄県警などの警官が待ち構えて逮捕するという手際の良さを見せた。
これは事前に日中双方が冷静に連絡を取り合った結果と言えた。
■国営テレビ、洪水のような愛国報道
8月15日に尖閣諸島に上陸した香港の保釣活動家は逮捕後、17日に強制送還となった。
そして18日には西安(陝西省)を皮切りに、19日には全国25都市以上で反日デモが一斉に展開された。
筆者は15日夜、北京で最初、香港の鳳凰衛視(フェニックステレビ)を見ていた。
逮捕された中に同テレビの記者もいたため鳳凰衛視が大々的に報道するのは理解できた。
しかし次に中国国営テレビ・中央電視台にチャンネルを切り替えたところ、「わが釣魚島に上陸」と、鳳凰衛視以上の愛国報道に沸き返っているのを見て正直、驚きを隠せなかった。
社会の不安定化を助長する反日デモに関しては、さすがに中国の新聞・テレビは一切報じず、外国向けの新華社通信英文版だけが事実関係を報じるにすぎなかった。
しかし若者らの反日デモに対する公安当局の対応を取材したところ、尖閣上陸時に中央電視台が展開した洪水のような愛国報道と同じような
「制御できない何か」
を感じた。
■「もはやコントロールできない」
それは複数の中国政府当局者が口にした
「もはや反日も、愛国もコントロールできない」
という現実である。
明らかに2005年や10年の時と違う政府当局の「開き直り」を
感じざるを得なかった。
今や中国は、4億人以上が利用するミニブログ「微博」(中国版ツイッター)社会だ。
例えば、19日に反日デモが展開された25都市。デモ参加者は我先に微博に写真付きでつぶやき、リアルタイムで反日デモが伝わった。
デモ呼び掛けについても微博で転送されれば、無限に広がり、完全削除は困難だ。
「かつてはコントロールできたが、今となってはインターネットを切断する以外にコントロールは不可能だ」。
前出の当局者はお手上げの状況だ。
2005年、10年と比べ、中国は日本を抜いて世界第2の経済大国になり、
大国意識と主権意識、そして愛国心の裏返しの反日感情
がどんどん高まった。
反日・反米など民族的論調で知られる共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、
「釣魚島は海外華人を含めた全中国人の精神的中心となった」(8月18日付)
「世界華人の保釣意識は覚醒から高揚に向かった」(20日付)
と煽り続けた。
中国外務省当局者は最近、
「環球時報は中国政府の見解を代弁しているわけではない」
と繰り返すが、政府は環球時報だけでなく、視聴率優先の商業主義に走る中央電視台についても放任し続けた。
反日問題に一定の規制を加えたかつての報道規制から考えると「転換点」と言えるものだった。
■反日デモ沈静化に公安のルール
反日デモに関しても同じで、もはや完全に押え込もうとは考えていない。
どうすれば管理できるかに重点を置いており、
公安当局に一定の内部ルールが存在している実情が今回、はっきりと見てとれた。
25都市で一斉に多発した19日の反日デモは、それぞれ各都市の保釣活動家らが微博で情報を収集しながら、ネット上で横並び式に呼び掛けたものだが、現地の公安局はデモを組織した中心人物と連絡を取っていた。
これは05年や10年の反日デモでも見られた光景だが、今回、公安の対応として以前と違ったのは、
デモを容認するものの、デモが拡大・過激化する前に、参加者に匹敵する警官隊を投入し、デモ隊を巧妙に分散させた
ことだった。
多くの都市でデモは午前9時か10時に始まり、
まず繁華街を行進させて「ガス抜き」を図り、昼ごろになると解散に追い込む、
という手法を駆使。
05年に北京で起こった1万人反日デモはこれに失敗し、コントロールできなくなったデモ隊は警官の意図しない方向に曲がり、日本大使館に向かい、投石や破壊行為など暴徒化した、という苦い教訓があるからだ。
さらに政治的に敏感な北京、上海の大都市では、街を練り歩く反日デモ行進を決して認めないようにした。
管理しやすく、ガス抜き効果の大きい日本の大使館・領事館前で人数を絞って、一気にではなく細切れに抗議活動を容認するという手法を徹底させた。
北京の日本大使館前では8月15日以降、抗議行動が続いたが、若者たちが大量の警官の前で入り代わり立ち代わり大使館前に来ては10分ほど騒いで帰る、という光景が繰り返された。
■怒りの対象は「日本」より「公安」
この公安当局の「維穏」(安定維持)手法は、土地問題や環境汚染、幹部腐敗などに抗議し、地方都市で多発する暴動やデモの際に導入している柔軟な対応と似ている。
つい最近まで暴力的にデモを弾圧してきた公安当局は、「これでは怒りと憎しみの連鎖」を生むだけとして
1.暴動・デモに対してまずは「容認」、
2.そして「ガス抜き」、
3.最後は拡大・暴徒化する前に「分断」させるという方向
に転換している。
「反日」と「反政府」で沈静化の手法はほぼ一緒である。
しかも反日デモの場合、参加者の怒りの矛先はまずは「日本」であり、その点で取り締まる側の公安当局とはなから衝突する可能性は低い。
だが
「若者は米国に不満を持てば反米デモ、日本に抗議する際には反日デモ。
結局、就職難や当局の横暴、格差などに不満を持っているから、外国にはけ口を求めているわけであり、
反日デモの本質は、反政府にある」
と言い切るのは北京の人権派弁護士だ。
19日の広東省深圳のデモではホンダの公安車両が破壊された。
壊した若者は「日本」に怒りを込めたのか、「公安」に怒りをぶつけたのか。
複数の中国の知識人は「公安だ」と言い切った。
公安当局も若者たちの怒りの本質を熟知している。
だから「反日」は時間が経てば、「反政府」に転化するとみて、
反日で「ガス抜き」させ、
彼ら彼女らが恒常的に抱える政府への不満も解消させる一石二鳥の効果を狙い、
頃合いを図り、自然と分断させる巧妙な手法を学習しようとしているのだ。
「愛国をコントロールできない」と開き直る共産党・政府は、
「民」との距離の取り方に苦慮している。
「民衆を怖がっている」という共産党の危機感
は年々増幅している現実だけは間違いない。
■過激論たしなめる理性的意見
8月19日に発生した反日デモのうち、日本料理店の窓ガラスを壊すなど暴徒化したのは深圳だけだった。
その他の都市は、「日本製品ボイコット」や「小日本は出て行け」など、横断幕のフレーズは厳しいものの、整然と行進が行われた。
「釣魚島は中国のもの、蒼井そら(中国で大人気の日本のアダルト女優)は世界のものだ」。
こういう赤い横断幕が各地の反日デモで登場して話題となったが、尖閣問題では譲らないが、日本のすべてが嫌いではない、
「これはこれ。あれはあれ」
という中国の若者の割り切った対日感情が見て取れる。
「日本製ボイコットを叫ぶけれど、使っているカメラはキヤノン」というような感覚だろう。
筆者は8~9月、中国政府の対日当局者、中国人教授、弁護士など多くの知識人と尖閣問題について意見交換したが、大部分は
「中国人は以前に比べて日本に対して理性的になっている」
と解説した。
実際のところ8月26日に反日デモが起こった広東省東莞市では日本料理店を襲おうとしたデモ隊に対し、別の参加者から「理性的行動」を求める声が上がったほどだ。
長く対日交流に携わっている中国当局者も
「日本に対して過激な発言が出ても、それにたしなめる理性的な発言が出る。
これがこれまでと違う所だ」
と漏らした。
■日中関係安定へ「微博」の役割
日本の対中関係者の間にはこれまで、
反日的な言論を統制でき、反日デモを抑制できる共産党一党体制が存続する方が日中関係は安定する、
という根強い見方があった。
中国が民主化すれば、一気に反日感情が吹き出すのでは、
という考え方が根底にある。
しかし今回の尖閣問題をめぐる中国人の対日感情を見ていると、
こうした論理はもはや破綻した
と見た方がいいだろう。
理由の一つは既に触れたように、
共産党・政府はもはや反日感情をコントロールできなくなった
ことだが、
もう一つについては人民大学教授で、近代日中関係に詳しい改革派・張鳴が筆者にこう解説してくれた。
「日本に関する理性的な議論とは何か。
言論統制によって黙らせることではない。
共産党は言論を規制して情報を透明化せず、国家ではなく党を愛する『愛国教育』を行ってきたため、(一方的な反日が広がり)中日関係は悪くなった」
つまり理性的な議論を促すためには、過激な問題言論が出たら、他の議論参加者がそれを訂正するプラットフォームが必要なのである。
それが関心事項に関して自由な意見交換ができる「微博」というわけである。
■「親日=漢奸」ではなくなった
8月27日、丹羽大使の公用車が襲撃され、日の丸が奪われた事件でも、偏った愛国教育を受けた若い世代の利用者が多い大手ポータルサイト「騰訊網」のネット調査では82%が「日の丸略奪」を支持した。
しかし同じ「騰訊」の微博では
「こんな狭隘な国家主義が起こると、中国人はかつての日本軍国主義の道を歩むのではないか」
という理性的な意見も見られた。
かつて親日的な発言を漏らせば、
「漢奸(売国奴)」とののしられた。
しかし今や、日本に対して理性的な発言を行っても、微博でそれを擁護してくれる「集団」が生まれた。
その結果、「親日=漢奸」として攻撃されることはなくなりつつあると言えよう。
■「国家」行為、強硬姿勢に転じる
しかしいくら政府は冷静に対応してきたと言えども、国内の民意に神経を尖らせなければいけないのは日中両国の首脳にとって変わらない。
転換点となったのは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたウラジオストクで9月9日、胡錦濤国家主席が野田佳彦首相と立ち話し、国有化に「断固反対する」と述べ、「誤った決定」の撤回を直接求めたことだった。
中国側としても、いくら野田首相に抗議しても、日本政府の国有化方針に変わりはないことを熟知しているが、微博上では胡主席の発言に「もっと強硬に」という失望が多く聞かれた。
胡主席が反発した翌日に野田首相は国有化を決定。
その日程はもともと決まっていたし、中国側も知っていたはずだ。
しかし形としては最高指導者のメンツが潰され、さらに対日弱腰を批判する民意が、翌日の国有化決定に対する強硬姿勢につながった。
国有化決定までの日中関係を混乱させた主役は「民間」だった。
石原慎太郎知事の計画も、香港活動家の香港上陸も、反日デモも、丹羽大使襲撃もみな国家・政府と関係ないところで起こった。
しかし国有化はまさに「国家」の行為である。
日本の国有化決定後、中国政府は強硬な対抗措置を示唆しながらも、日本側の柔軟化を待っているように見える。
日中両国政府の水面下の交渉で緊張打開策が見いだせるか、が当面の焦点となりそうだ。
』
「大国意識と主権意識、そして愛国心の裏返しの反日感情」。
つまり中国は、
日本に「大国中国の言い分を聞け」
と脅すのだが。
急激に芽生えた大国意識の発散先が日本なのだが、その日本が大国となった中国の言い分にまるで耳を貸そうとしない。
「中国の大国意識など屁とも思わない」
といった態度をとる。
それが、どうにも成金大国中国のにわかに自尊心を傷つける。
しかしながら、世界でもっとも大きな独裁国家でありながら、
「もはや反日も、愛国もコントロールできない」状態
に陥ってしまっているのが権力を握る共産党なのである。
共産党が中国を掌握できているのは、その独裁権力によって民をコントロールできるからである。
しかし、いまや共産党はその力を失いつつある。
民衆のほうが力を得つつある。
その原因はインターネットという情報手段によってである。
独裁は情報を権力者が一手に握ることによって成り立っている。
しかし、もうはや共産党はその最も基本となるべき情報操作も上手にはできなくなりつつある。
中国の独裁権力の活用より、世界の技術進歩のほうがはるかに先に進んでしまっているのである。
先端技術が開けた独裁体制への穴を後ろから追いかけつつ塞いでいくのがやっとという状態になりつつある。
このままデモが続けば、それは
「反日」は時間が経てば、「反政府」に転化すると
ということに繋がる。
もはやこれを止めるだけの力を共産党が失いつつあるということだろう。
「悪夢の全国同時多発デモ」
と言うわけである。
共産党独裁のほころびが、この反日デモで目立ちはじめている。
情報力をもった民衆は、反日から反政府へ進むその瀬戸際に立っている。
共産党は傍観するしか、打つ手がなくなっている。
反日が荒れ狂えば荒れ狂うほど、反政府は思想は拡大を続け、共産党の寿命を縮めていく。
共産党には民を抑える力を失い、その独裁権力は風前のともしびに晒されている。
もし、ここ10年以内に共産党政権が倒れることがあったら、
そのきっかけになったのは、ささいな小島の手続きに関する日中間の出来事であった、
と後世の歴史に刻まれることになるだろう。
バタフライ効果というのは、この情報世界にとっては実に有力な権能を有しているようだ。
以前ならそのまま消えてしまうようなささいなことが、ネットに載ることによって、強大なタイフーンとなって情報網を駆けまわる。
次々と巻き込み、ちょうど雪だるまのように膨れあがっていく。
そのときは、蝶の羽の最初の一振りの意味は忘れさられ、ただ風の勢いだけが周りをなぎ倒していく。
いま、共産党は雪だるまのなかに取り込まれるか、疾風のなかでうずくまってやり過ごすか、どちらかを選ぶ岐路に立っているといっていい。
「ここに日本政府に丁重に警告する」
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