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朝鮮日報 記事入力 : 2012/09/22 09:25
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/22/2012092200385.html
経済・武力カードをためらわない中国
中国の故・トウ小平氏は改革・開放をスタートさせた際「時を待って力を高める」を外交路線として掲げた。
これは、国力が高まるまでは外国との不必要な摩擦を避けることを意味していた。
2003年に権力を握った胡錦濤国家主席は「平和的な浮上」と「平和発展」をスローガンとしていた。
ところが現在、
中国は「経済制裁」と「武力カード」をためらいなくちらつかせ、周辺国との衝突を繰り返す
ようになった。
■周辺国との衝突を繰り返す中国
2008年の金融危機をきっかけに米国が衰退する中、
中国は2010年に国内総生産(GDP)で日本を抜いたことをきっかけに、「覇権主義」を隠さなくなった。
同徳女子大学の李東律(イ・ドンリュル)教授の論文によると、
中国は1949年の建国以来、23回の領土紛争を経験し、うち17回は交渉で解決したが、
インド(1962年)、ソ連(1969年)、ベトナム(1979年)
などとの武力衝突も6回引き起こしている。
2010年以降、中国は東シナ海と南シナ海の領有権争いで、周辺国との武力衝突も辞さないとの態度を明確に示している。
経済制裁は基本だ。
2010年に日本と尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権争いが表面化したときは
▲希土類(レアアース)の輸出禁止
▲日本への観光旅行抑制
▲日本企業による贈収賄の調査など、
経済制裁だけで日本の降伏を勝ち取った。
今年に入って再び尖閣諸島の領有権争いが表面化すると、経済制裁はもちろん、軍艦2隻、監視船16隻、漁船 1000隻を現場海域に送る武力行動まで取り始めた。
100年以上にわたりアジアの覇権国だった日本は、今改めて中国に頭を下げなければならない状況になっている。
中国の対日強硬姿勢は、中国と領土・領有権争いをしている他国を意識した側面もある。
世界3位の経済大国・日本を強く圧迫することで、他国にもさまざまなメッセージを送っているというわけだ。
南シナ海で中国は、フィリピンやベトナムなどと南沙諸島(スプラトリー諸島)と西沙諸島(パラセル諸島)の領有権争いをしている。
昨年は南沙諸島に軍艦1隻を送り、フィリピンの油田探査船の活動を妨害した。
また、今年は軍艦2隻と漁船20隻を派遣している。
■韓国も他人事ではない
中国が国際舞台で本格的に武力を誇示し始めた2010年以降、韓中関係もきしみ始めた。
2010年の哨戒艦「天安」爆沈事件と延坪島砲撃事件で、中国は年間交易額が2000億ドル(約16兆円)を上回る韓国との関係など気にも掛けず、北朝鮮の擁護に回った。
天安爆沈事件の直後、米空母が西海(黄海)での訓練を計画すると「衝突も辞さず」などと非常に攻撃的な態度を取り、西海周辺で軍事訓練まで行った。
また、中国の国家海洋局長(閣僚クラス)は今年3月
「国家海洋局による定期的な偵察の海域に蘇岩礁(離於島)を含める」
と表明した。
現在の尖閣諸島領有権争いが離於島にまで飛び火する可能性が高まっているのだ。
韓国は2000年、900万ドル(現在のレートで約7億300万円、以下同じ)相当の中国産ニンニクに対して緊急の輸入関税を掛けたが、これに対抗して中国は年間5億ドル(約390億円)相当の韓国製携帯電話などの輸入を中断する報復措置を取った。
慶熙大学のチュ・ジェウ教授は
「GDPに占める貿易依存度が25%の日本も、中国の経済制裁で大きな影響を受けた。
これが90%に達する韓国は、中国の経済制裁でより大きな影響を受ける」
と語った。
今のような雰囲気が続けば、中国は韓国との対立が表面化した場合、いつでも力を前面に出してくるだろう。
排他的経済水域(EEZ)が定まっていない西海で、韓国漁船に圧力を加えながら水産資源を独占してくることも考えられる。
人権運動家の金永煥(キム・ヨンファン)氏が中国で拷問を受けたとするニュースはまだ記憶に新しいが、この問題で韓国政府が中国に真相解明と謝罪を要求すると、中国は
「中国国内にいる韓国の非営利組織(NGO)や宗教団体などに対しては、法律に基づいて対応する」
などと脅迫してきた。
安全保障問題に詳しいある専門家は
「在韓中国大使館の関係者が、現在の尖閣諸島領有権問題について、韓国は中国側か日本側かを尋ねたことがある。
今後中国は韓国に対して中国側か、あるいは日米側かの選択をさらに強く迫ってくるかもしれない」
と予想した。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/09/22 10:04
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/22/2012092200413.html
中国に押された日本、軍備増強の可能性
日本は尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる最近の対立で中国に完敗したと評されている。
軍事面と経済面の圧力カードを切った中国に押されっ放しだったからだ。
日本の専門家は
「今回の事態が日本の右傾化傾向を加速させる可能性がある。
日本が中国の力に押されたとの判断を下せば、本格的な軍備増強に乗り出すことがあり得る」
と指摘した。
日本の軍備増強は韓中日による自由貿易協定(FTA)交渉など初歩段階にある3カ国の協力体制に悪影響を与えるだけでなく、中国、韓国を刺激し、東アジアに軍拡のドミノ現象を招くとみられる。
■中国の脅威口実に
ソウルの外交筋は21日、
「中国が今回、完勝を収めたように見えるが、実は日本の右翼が数十年間願ってきた集団的自衛権の確保など軍事力増強に口実を与えた」
と指摘した。
日本は2010年に尖閣諸島海域で中国漁船と海上保安庁の艦船による衝突事件が起きて以降、軍事力を強化する措置を取ってきた。
日本は昨年、尖閣諸島が敵国に占領された状況を想定し、奪還を図るための自衛隊の陸海空合同演習を実施した。
また、2016年以降、米軍の無人偵察機グローバルホークを導入し、尖閣諸島一帯で中国海軍の動向を監視する計画だ。
一部の専門家は
「今回の『尖閣の屈辱』を契機として、日本の国民総生産(GDP)の1%未満に抑えられている防衛費が1%の壁を破る可能性がある」
と予測した。
韓国のシンクタンク、世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本研究センター長は
「日本の軍事大国化の動きは、既に相当進展した。
尖閣諸島問題でそうした動きが強化される可能性がある」
と指摘した。
日本の右翼はこれまで軍備増強の名分として「北朝鮮の脅威」を掲げたが、今後は中国脅威論がそれに取って代わる可能性があるとされる。
日本は 1998年に北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン1号」を発射したのを契機として、集団的自衛権をめぐる論議を開始した。
2000年代に入ると、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験実施のたびに先制攻撃論を主張し、第2次世界大戦の「戦犯国家」であるがゆえに軍備や武装で制約を受けている現在の枠組みを打破する方策を議論してきた。
韓国国防研究院のソン・ファソプ研究委員は
「北朝鮮脅威論に基づき、日本は米国のミサイル防衛(MD)体制下に入るなど、軍備を増強してきた」
と指摘した。
中国との紛争可能性ははるかに差し迫った脅威である点で、日本の右翼には軍備増強の良い口実となる可能性がある。
日本は外国勢力にやられた屈辱に武力で対抗してきた歴史がある。
1853年に黒船のペリー提督に開港を強要された日本は、1868年の明治維新で近代化に成功。
1941年には米国の真珠湾に侵攻した。
日本は海軍力を増強し、東海(日本海)に配備する案も検討するとみられる。
尖閣諸島を保護するという名目で艦船を増やした後、有事の際に独島(日本名・竹島)付近に配備する戦略を取る可能性も否定できない。
■日本政治の右傾化加速
日本国内では最近、現状を
①.19世紀の明治維新直前の危機、
②.20世紀の第2次大戦敗戦後の危機に
③.続く「第3の危機」
ととらえる分析が示されている。
20年の長期不況で中国に経済的に逆転されたことなどで、日本人の危機感が高まり、政治家が民族主義に訴える傾向が露骨化している。
極右傾向の橋下徹大阪市長が高い支持を受け、「日本維新の会」を旗揚げし、主な政治勢力に浮上したのも、そうした社会的ムードを反映したからだと言われる。
ソウル大のパク・チョルヒ教授は
「日本の政治家による歴史問題での妄言が相次ぎ、韓国、中国に強硬に対応するのも、国民感情をなだめる民族主義が表面化しているものだ」
と語った。
国民大の李元徳(イ・ウォンドク)教授は
「来年初めに予想される日本の総選挙でも対外関係よりも、有権者を意識した民族主義的主張をした方が有利とみられる。
現在が最も危うい局面だ」
と指摘した。
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「ここに日本政府に丁重に警告する」
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