2012年9月28日金曜日
対日本経済制裁:果たして有効?自傷行為にならないか?
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●26日、中国紙・環球時報は、北京師範大学の専門家が寄せた論文を掲載。日本への経済制裁と信じて行う行為が、めぐりめぐって中国経済を損じることになると論じている。写真は2012年9月、湖北省の百貨店に張り出された「日本製品ボイコット」の張り紙。
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レコードチャイナ 配信日時:2012年9月28日 8時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65024&type=0
<尖閣問題>
グローバル化時代、日本への経済制裁は自傷行為になる―中国紙
2012年9月26日、中国紙・環球時報は、北京師範大学中国経済・政治研究センター主任教授の寄せた
「対日経済制裁は有効、しかし自傷行為たるなかれ」
との論文を掲載した。
日本への経済制裁と信じて行う行為が、めぐりめぐって中国経済を損じることになると論じている。
中国の航空会社が次々と日本便を削減したり、新規就航路線の中止を発表したりしている。
多くの旅行会社も追随し、日本行きのツアーを次々とキャンセルしている。
こうした一連の措置は、尖閣諸島の国有化を断行した日本への経済制裁だと多くの人が考えている。
しかし、このグローバル化時代、すでに世界経済は一体化しているのである。
ピンスポットで日本経済を叩く行為がどういう結果になるか?
日本製品ボイコットなどという単純な問題は、もう存在しないのだ。
多くの日本企業が中国市場に深く根を下ろし、生産拠点を構えている現在、
正真正銘の“日本製品”とは何だろうか?
それはおそらく、日本国内の日本人のみに向けて提供されているサービスくらいではないだろうか?
だとしたら、我々にできる経済制裁は確かに、日本へ旅行や留学を拒否するくらいのことしかできないだろう。
逆に、日本製品の輸入や日本企業の中国進出を規制したり、日本への資源輸出を削減したりすることには賛成できない。
まず、日本製品の輸入を減らすことは、中国経済への自傷行為にあたる。
現在、世界に売り出している中国製品は主に電子部品などの分野において、日本製の生産設備や部品が欠かせないからである。
日本からの工業材料の輸入削減は、自身の経済発展を阻害することになるわけだ。
同様に、日本企業のみを対象とした市場参入制限はWTOの規定に抵触する行為であるし、中国がいくらレアアースの対日輸出を禁止したとて、日本は第三国を経由してきちんとこれらを確保する手段を持っている。
現段階では、日本製品や日本企業が中国経済の成長に寄与し、国力増強や就業機会拡大に貢献している事実は否定しようもない。
経済面で得ている恩恵のほうが政治問題を上回っていることは事実である。
よって、日本への全面的経済制裁は自国の経済にとって不利益である。
他国を叩けば自国を傷つけることになる、そういう時代になったのだ。
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レコードチャイナ 配信日時:2012年9月28日 8時52分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65007&type=0
<レコチャ広場>
日本製品の不買運動、この100年でどう変わっていったのか?―中国
●10日、中国の著名作家・呉暁波氏が「この100年で3度発生した日本製品の不買運動」と題した記事を中国のブログサイトに掲載した。写真は12日、「当店は日本製品を売りません」と書かれた看板を掲げる黒竜江省の大型スーパー。
2012年9月10日、中国の著名作家・呉暁波(ウー・シャオボー)氏が
「この100年で3度発生した日本製品の不買運動」
と題した記事を中国のブログサイト・新浪博客に掲載した。以下はその概要。
中国で最初に日本製品の不買運動が起きたのは1915年。
日本が当時、中華民国の袁世凱政権に「対華21カ条要求」を突き付けたのがきっかけだ。
上海で4万人近くが反対を呼び掛ける国民大会を開き、その後、広東省など10数省・市に拡大。
国産品の購入を提唱する民間の「中華国貨維持会」が各地の学生に「日本製品狩り」を指示。
学生らはそれに従い、商店などを回り、日本製品の破壊や没収を繰り返した。
2回目は日本が東北三省を侵略した1931年だ。
この時からナショナリズムの名の下に非道徳的な行為が許されるという風潮が生まれた。
政府の積極的な関与も始まった。
日本人を「敵」とみなし、敵が作った製品は死んでも使わない、日本製品を販売する者は裏切り者、といった過激な論調が席巻。
政府も日本製品に高い関税をかけ、日本の対中輸出額は一気に半分から3分の2に減少した。
3回目は2000年代に入ってから。
最近も釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題をめぐる激しい不買運動が起きているが、日本車の破壊といったうっぷん晴らしに近い行為があった以外、特に大きな動きは見られない。
それは、中国と日本の立場が逆転したことを意味する。
我々は理性的で自信に満ちた方法で隣国との関係に対処していけばよい。
日本はもはや中国にとって、経済面で最も重要なライバルではなくなった
ということだ。
経済史において、不買運動によって経済のさらなる成長を果たした国や民族は1つもない。
もちろん、中国や日本も例外ではない。
最後にこの事実を皆さんにお伝えしておこう。
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中国が経済制裁を課さなくても、日本企業の相当数は中国を去っていく。
それが2割になるか、3割になるか、半分になるかはわからない。
最悪でも半分以上になることはないだろう。
でも、悪い方では半分、いいほうでは2割くらいはみておいた方がいいだろう。
この結果が形で現れるのは2年とか3年かかかる。
日本ツアーのキャンセルはすぐに見えるが、経済の根幹にかかわる結果はタイムラグがあり時間がかかる。
日本ツアーはすぐに回復する。
実際、日本は東日本大津波の時、それを経験している。
中国は特別機を仕立てて日本にいる中国人を運んだ。
これでもう来なくなると思ったら、あっという間に戻ってきた。
まだ大地が揺れているのに。
反対に日本人が大丈夫だろうか?と心配してしまうほど。
観光客というのは魅力があればいく。
人を誘引する魅力は、いまのところ日本は十分にもっている。
よって、時間とともに事が穏やかになってくれば、ツアーは回復する。
少なくとも日本にあって中国人が危険に遭うことはないからだ。
少なくみつもって2割の日本企業が中国から他のアジア地域にシフトしたら中国への影響はどうなるだろう。
もちろん、国家の根幹にかかわるようなことはないが、失業者が増大することだけは確かである。
若干の国内不安が発生する。
問題はバタフライ効果だろう。
昨今の情報網の進化により、バタフラ効果は日増しにその効力をましている。
何が起こるだろうか。
分からない。
でも中国政府にとって、これは懸念材料であることは確かだ。
日本企業の引き止めは当局のメンツとしてできないだろう。
もしそんなことをしたら、社会不満がましてくる。
といって、このまま日本企業の逃亡を見逃していたら、行く先の不安は見えている。
中国政府としてはつらいところだ。
「ここに日本政府に丁重に警告する」
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